いろいろ知らない曲が
あるものです。
大人の生徒さんがこれ弾いてみたいと
楽譜を探されて今頑張って練習中です。
実は私はこのシンディング
作曲の「ヴァイオリンとピアノのための組曲」
知らなかったのです。
第1楽章はプレストで16分音符が絶え間なく続き
速いテンポで弾くのはとても大変ですが、良い練習になっています。
第3楽章は重音がたくさん出てきてエネルギッシュな楽章です。
バッハの無伴奏曲のような箇所もあり、弾いていて楽しい曲です。
http://www.youtube.com/embed/STgcYnvlFLsクリスチャン・シンディング
(1856年ノルウェー、コングスベルグ生まれ、1941年オスロにて死去)
古い様式で書かれた組曲 作品10 (1889年作曲)第1楽章:Presto (速く)
第2楽章:Adagio (遅く)
第3楽章:Tempo giusto (適宜なテンポで)
クリスチャン・シンディングは、ノルウェーの生んだグリーグに続く秀でた重要な作曲家で、グリーグ、ヨハン・スヴェンセンと共にノルウェー音楽の黄金時代の偉大なる作曲家の一人と考えられています。ヴァイオリンを学んでいたシンディングは、ライプチヒ音楽院の学生だった頃、初めて真剣に作曲に取り組みはじめました。ライプチヒ音楽院は1843年にフェリックス・メンデルスゾーンによって設立され、メンデルスゾーン、シューマン、マックス・レーガー、グリーグ、フェルディナント・ダヴィット等の著名な音楽家が教授として教えたり、指導を受けたりした由緒正しい音楽院でした。
シンディングは後期ロマン派の作曲家に属し、生存中は大変著名で、尊敬されており、作品も評価されていました。1941年の彼の死とともにその評価が急激に下がったのは、反ロマン主義の影響が強くなってきたことに加え、彼は“時の人”でありながら、生前に歴とした独自の新しいスタイルを確立していなかったからではないかと思われます。
1889年に作曲されたヴァイオリンの為の『古い様式で書かれた組曲』と1896年に作曲されたピアノ曲の『春のささやき』以外の作品は、最近ではほとんど忘れ去られています。『古い様式で書かれた組曲』が、今日でも繰り返し演奏され、広く親しまれているのは、ヴァイオリンの巨匠ヤッシャ・ハイフェッツの功績が大きく、彼がレパートリーに取り入れたことによって再び脚光を浴びたからです。
3つの楽章から成り立つこの組曲は、タイトル通り、シンディングが意味するところの“古い様式”、つまりバロック・スタイルで書かれています。第1楽章では、バロック時代の典型的な和声の進行に基づいた絶えまない動きが終始見られますが、彼はこれらの和声の多くをロマン派の音楽的気質を表すかのように装飾しています。この楽章は短く、表情豊かな第2楽章の序奏のような印象を与えます。第2楽章では、優しさと温かさが溢れ出て、ロマン派の気質が一層深みを増します。第3楽章は、踊っているような雰囲気はあるものの、決して陽気で快活な感じはしません。冒頭のメロディーはバロック様式で、すぐにロマン派的なメロディーが現れます。また、この楽章には、バロック時代の作曲法に基づく複雑なカデンツァがあります。最後はイ長調の分散和音をけ上がって終ります。それまで短調であったのが、作品の最後の最後を長調で締めくくる方法は、バロック時代の典型的な作曲法の一つです。
五嶋みどりさんサイトより(編・訳:花田由美子
http://dolchie.ciao.jp/index.html/